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ONE OK ROCK Taka インタビュー「Flip a Coin -ONE OK ROCK Documentary-」

ONE OK ROCK Taka インタビュー「Flip a Coin -ONE OK ROCK Documentary-」

日本のみならず世界を股にかけ活躍する、ロックバンド、ONE OK ROCK。エド・シーランとの楽曲制作や映画「るろうに剣心」の全主題歌を担当するなど、もはや説明不要と言えるほど、国内外で着実にその歩みを進めている彼らが昨年、コロナ禍の最中に行った、初めてのオンラインライブ「ONE OK ROCK 2020 "Field of Wonder" at Stadium Live Streaming supported by au 5G LIVE」。その裏側に密着した、ドキュメンタリー「Flip a Coin -ONE OK ROCK Documentary-」が、10月21日にNetflixで全世界同時配信となる。  

リハーサルスタジオからメンバーのプライベートに至るまで、3ヵ月間密着し、ONE OK ROCKの"すべて"を収めた本作品は、あるロックバンドの新たな挑戦の記録であり、この未曾有の時代を懸命に生きた"普通の"人々のありのままの生活の記録でもある。アメリカ・ロサンゼルスでニューアルバムを制作中のフロントパーソン、Takaに本ドキュメンタリーについて話を聞いた。 

ーー今回のNetflixドキュメンタリー「Flip a Coin -ONE OK ROCK Documentary-」は、2020年10月11日に行われた初めてのオンラインライブの裏側を収めた作品になっていますが、そもそも、なぜこのタイミングでドキュメンタリーを作ろうと思われたんでしょうか?

僕らの活動は、ライブと音源を作るっていうこと以外は基本的にはないので、その中間を埋めるような、接着剤的なコンテンツってやっぱりドキュメンタリーしかないんですよ。僕らのパーソナリティーとか思想的な部分ってファンの人たちにはわかってもらえていると思うんですけど、実際に今僕らがやろうとしていることがどんなふうに作られているのかっていう"裏側"みたいなものはあまり見せたことがなかったので。そういう意味で、COVID-19の混乱が始まってから、初めてのオンラインライブをやるまでの期間は、いつリリースするのかは置いておいても、絶対に記録しておきたかったんですね。  

ーー今作を観て「ここまで見せてもいいの?!」って、とにかく驚きまして。スタジオでのリハーサルの様子や演出に関する会議にもカメラが入っていて、ONE OK ROCKのサウンドやライブができあがっていく過程がつまびらかにされているうえに、コロナ禍におけるメンバーの皆さんのプライベートにも密着されていて、非常に興味深かったです。  

ははは (笑)。監督の雨包 (直人) さんは、昔からずっと一緒にいて僕らを撮ってくれている人なんで、そんなに気負うことなく、普通に自然体でいることができましたね (笑)。

ーー「あの時、ONE OK ROCKはこんなふうに考えながら、活動していたんだな」というのを、自分自身の1年前の生活を思い出しながら観ることができて、とてもリアルに感じました。 

今回のコロナ禍って、世界中の人々が同じ時期に同じ想いを抱いたと思うんですよね。そんなことって今までなかったじゃないですか。僕ら自身、活動はストップしてしまいましたし、もちろんいろんなものを失ってしまったので、悲しい気持ちでいっぱいになった瞬間もありましたけど、(このドキュメンタリーでは) そういう状況の中でも、僕らはこういうふうに前を向いて、未来に向かって、また走り出そうとしているよってことを伝えたかったし、記録しておきたかった。命の重みだったり、なぜ生きているのかとか、なぜ夢を追うのかとか、この期間には人間として一番シンプルなことも考えたわけで。僕らはこの時期に感じたことを絶対に忘れたくないし、同じようにみんなにもこの経験を忘れてほしくないなって思ったんです。  

ーー11月17日にはオンラインライブの本編を収録したBlu-rayとDVDが発売されて、ライブで初披露された新曲「Wonder」もリリースされるそうですね。この作品を観ると、やっぱりライブ本編も観たくなりますし、新曲も聴きたくなるのですが、ドキュメンタリーでは皆さんオンラインライブは「もう二度とやりたくない」とおっしゃっていましたね (笑)。今、振り返ってみて、このライブをやったことの意義ってどこにあったと思いますか?

もう、やりたくないですね (笑)。でも...やっぱり、ポジティブな強い気持ちを目の前の人に届けるってことが、自分がエンターテイナーとして、死ぬまでの間にできる最大のことだと思うんですよね。負けず嫌いで、やたら気の強い僕みたいな人間が、この世界に身を置いて、自分の表現や言葉で誰かを救えたりするような立場にいるんだったら、その一番、自分の核を構成している部分を最大限に出していくべきで。僕らの想いを受け取った人たちが「生きたい」とか「頑張りたい」って思ってくれることが、自分のそんなに大したことない人生の中で唯一誇れるものになるのかなって思うから。オンラインライブでもそういう"責任感"を持ちながら、やろうっていうことは考えていました。  

ーー作品の中で、本番のスタジアムでのリハーサル中にRyotaさんが「こんなライブ初めてや...」という発言をしたときに、Takaさんが間髪入れずに「だから、やるんだよ!」とゲキを飛ばしていた場面が非常に印象的で。ONE OK ROCKのスピリットが垣間見えた瞬間だったなぁ、と。

ははは (笑)。いや、でも、自分の置かれてるポジションにはすごく感謝してますね。バンドメンバーもそれぞれ全然人間性も考えていることも違うので。そういう4人が同じ方向を向いて活動するためには、何か「特別なもの」がないと難しいんですよ。僕らは幸いなことにそれを共有できていて、オンラインライブのような初めての試みでも最後までやりきるっていうスタンスを持てているので...。誰にでもできることじゃないっていうのはわかってるけど、でも、俺にできるんだから、お前らにもできるよっていうのも思うんですよね。その二つの想いをもって、バンド活動ができているのは幸せなことだなって思います。     

ーーこのドキュメンタリーは全世界に同時配信されることが決定していますが、Netflixで配信公開されることについては、どう考えていますか?

Netflixは、僕自身、普段から使っていて、たくさん映画を観たりしているんですけど。Netflixを通じて全世界の人たちが同じタイミングで、同じ気持ちで僕らのドキュメンタリーを観てもらえるのはすごくうれしく、ありがたいなって思います。  

ーー過去の秘蔵映像や写真などもふんだんに使われていて、バンドの歴史がわかる内容になっているので、海外のファンの皆さんや、ONE OK ROCKをこれから好きになる人たちにとっても、今、ONE OK ROCKというロックバンドをより深く知るための"入門編"になっているのかなと思いました。

そうですね。自分たちが世界でどこまで認知されているのかっていうことは、なかなかわかりづらいところではあるんですけど、それでも肌感としてちょっとずつ何かが変わり始めているなっていうのはあって。ONE OK ROCKのことを新しく知ってくれたファンの人たちが、Netflixでこのドキュメンタリーを観て、理解を深めてくれることはすごく僕らの今後の活動にとってもいいことなんじゃないかなと思ってます。  

ーー収束ムードは漂ってはいますが、まだまだ、コロナ禍の余波は世界中で続いていて。そんな状況の中で、今回のドキュメンタリーで最後にTakaさんがおっしゃっていたことが非常に心に残りました。ぜひ、この記事を読まれた方にはドキュメンタリーを観て確認していただきたいのですが、Takaさんは今、ONE OK ROCKの今後の活動のビジョンをどのように考えていますか?

そうですね...。自分の全然大したことない、33年間の人生の中でも確信をもって言えることが一つだけあって。人って、何か大変な状況に陥ったときって、誰かのせいにしないと生きていけないんですよ。でも極論を言うと、実は誰のせいでもなかったりするんですよね。その"誰かのせいにする"タームが終わったときに初めて、次の段階に行けるんだと思うんです。  

だからこそ、言い方は良くないですけど、今この時にこそ僕らはハングリーにならなきゃいけないと思うんです。この機会を活かして、自分たちが追い求めている夢に対して、もっとみんなが貪欲になって、手を取り合いながら、それぞれが頑張ればいい。今が、もう一度、手を取り合うことができる唯一のタイミングなんじゃないかなって...逆にこれを逃すと、当分それは訪れないと思う。手を取り合って、頑張っている僕らを見て「なんだよ、お前らダセーな」っていう若い世代が出てくるまでは、僕らは僕らの信念を貫き通して頑張らなきゃなって思うんです。 

Netflixドキュメンタリー「Flip a Coin -ONE OK ROCK Documentary-」はNetflixで全世界独占配信中。