社会貢献
2021年1月13日マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が暗殺されたのは、私が8歳の誕生日を迎える前の晩のことでした。家族と地域に衝撃が走り、私は父が初めて涙を流す姿を目にしました。インクルージョンと公正さの実現が私の使命と悟ったのは、思い返せばこの夜でした。キング牧師の願いを成就させることを、私はこのとき決心したのでした。
その願いを受け継いだ私は、彼の努力が水泡に帰すことのないよう尽力しました。何十年にもわたってコンサルタントとして企業に協力し、過小評価され、排斥されてきたコミュニティの人々に立ちはだかる障壁を取り除こうと努めてきました。その結果、2018年、Netflixへとたどり着きました。世界に発信される物語とその語り手に対し、絶大な影響力を持つ会社と手を携えることになったのです。
まず、Netflixの社員に、この会社で働いている感想を聞いてみました。Netflixは2017年、企業文化として掲げる理念にインクルージョンを加えましたが、ここであることに気づきました。「自分たちは思っているほど、あるいは目指しているほど素晴らしい存在ではないのだ」と。そしてこの2年間にわたり、私たちインクルージョン・チームは、社内に基盤を作って種をまき、インクルージョンを根付かせようと努めてきました。
本日、私たちはこのNetflixインクルージョン第1弾レポートで、その取り組みについてお知らせします。当社におけるリプレゼンテーションやその促進計画、所属やアライシップのコミュニティ構築といった取り組みを簡単にご紹介します。
インクルージョンがもたらすもの
さて、インクルージョンとダイバーシティは、なぜNetflixにとって重要なのでしょうか。当社の自由と責任のカルチャーについては、これまで数々の文書でお伝えしてきました。しかし、私たちが学んだもっとも大事なポイントは、このカルチャーにダイバーシティやインクルージョンを組み合わせると、イノベーションを起こす力や創造力、問題解決能力がもたらされるということなのです。これによって、集団思考が解消し、多様な経験や考え方による問題解決が可能となり、旧来の方法に頼る必要はなくなります。そして、今いるメンバーと未来のメンバーに、さらに素晴らしいエンターテインメントを届けることができるようになるのです。
これは、私たちインクルージョン戦略チームだけでは成し得ません。皆の協力が必要なのです。それぞれの社員がインクルージョンを念頭に置いて、社内・社外のあらゆる問題や決定、議論に目を配らなければなりません。このように、「誰の意見が忘れられているだろう?」「誰が排斥されているだろう?」「これは正しく表現されているだろうか?」社員が自問することを、私たちは"インクルージョンレンズ"と呼んでいます。
これを実践できれば (詳細は後述)、奇跡を起こすこともできます。Netflixでは、イギリスの黒人の物語をプロモートしています。Netflixでは、脳性麻痺の同性愛の男性を初めてTV番組として取り上げました。Netflixでは、預金の一部を黒人経営の銀行に移動しています。こういった数々の出来事の中心にあるのは、インクルージョンの考え方です。この動画では、社員が互いに協力し合う様子が語られています。ぜひご覧ください。
イラストレーション: ンドゥビシ・オコイエ。出演 (登場順): ヴェルナ・マイヤーズ (インクルージョン戦略部門バイスプレジデント)、テッド・サランドス (共同最高経営責任者、コンテンツ最高責任者)、ボゾマ・セント・ジョン (マーケティング最高責任者)、カビ・ギシュル (インクルージョン・リクルーティング・プログラム ディレクター)、アーロン・ミッチェル (Netflixアニメーション人事ディレクター)、ロシェル・キング (クリエイティブプロダクション部門バイスプレジデント)、アーロン・リンチ (クリエイティブマーケティングマネージャー)、フランシス・アベブレサ (広報マネージャー)、ハイドン・パーマー (クリテイディブアシスタント)、ジーナ=モーア・バレット (編集・パブリッシングマネージャー)、コール・ギャヴィン (コンテンツ取得ディレクター)。
この動画でご紹介する例は、ほんの一部にすぎません。社員のバックグラウンドがより多様になっていけば、このような動画はさらに増やしていきます。共同最高経営責任者のテッド・サランドスが話すように、「作品の中のインクルージョンは組織の中のインクルージョンから始まる」のです。このレポートでは、Netflixが社内で実施している取り組みを取り上げますが、まずは実際の数字を示してご説明します。
数字で見るリプレゼンテーション
2013年以来、Netflixは四半期ごとにダイバーシティに関するデータを求人サイトで公開しています。以下は現在の状況です。
女性は全社員の半数 (47.1%) を占めており、ディレクター職以上 (47.8%)、バイスプレジデント (43.7%)、さらにシニアリーダーシップ (47.6%) といったリーダーシップレベルも半数が女性で構成されています。
アメリカ国内の全社員の半数近く (46.4%)、またリーダーシップの約半数 (42.0%、ディレクター職以上) は、1つ以上の過小評価されている人種または民族的バックグラウンド (黒人、ラテンアメリカ系またはヒスパニック系、先住民族、中東系、アジア系、太平洋諸島系) を有しています。
アメリカ国内の黒人社員数は過去3年間で2倍になり、全従業員の8%、リーダーシップ職 (ディレクター職以上) の9%を占めています。
Netflixの数値データ動画はこちら。
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データは2020年10月時点のもの (正社員約8000名)。リーダーシップは、ディレクター、バイスプレジデント、執行役員職の社員を指します。イラストレーション: ンドゥビシ・オコエ。
過去3年で、私たちは目覚ましい進歩をとげてきました。最近の傾向については脚注をご参照ください。しかし率直なところ、私たちは現状に満足しておらず、さらなる改善を望んでいます。過小評価されている人々にNetflixを魅力的に感じてもらうために、他にも取り組まなければならないことが数多くあります。この目標の達成に向けて、私たちはチームを結成し計画を練りました。
リプレゼンテーションの促進
Netflix社内の多様性をさらに促進するには、リクルーター、リーダー、社員全員の力が必要ですが、良い結果をもたらすためには互いが協力しなくてはなりません。カビ・ギシュルが率いるNetflixのインクルージョン・リクルーティング・プログラムチームは、リプレゼンテーションの格差を調査し、これを短期的・長期的に解消する役割を担っています。代表的な取り組みとしては、以下のようなものが挙げられます。
よりインクルーシブな雇用: リクルーターは、候補者の選定や連絡、採用マネージャーへの助言といった役割を担います。インクルージョン・リクルーティング・プログラムチームは、このプロセスをよりインクルーシブに実施するため、トレーニングカリキュラムを策定しました。具体的には、"面接におけるバイアスに気づく"、"新たなやり方で候補者を探す"、"採用マネージャーがチームに欠けている観点を認識する"といったトピックを取り上げています。Netflixの採用部のうち200名以上が、このプログラムで1つ以上のコースを受講しています。
新進気鋭の才能のための機会創出: これまで、構造的問題により特定のグループはエンターテインメントやテクノロジー産業から疎外されてきました。そういった問題は、こういった人々のためにキャリアの初期段階で機会を創出することにより解消することができます。たとえば、テクノロジー産業は黒人の割合が低いという実態があります。Netflixで初めて実施されたHBCUノーフォーク州立大学向けテクニカルブートキャンプは、こういった状況の改善を目指したものです。私たちが他の人に向けて門戸を開けば、彼らはさらに他の人のために門戸を開きます。今後、さまざまなスキル、産業、コミュニティに対して、こういった取り組みを拡大していくことを目指しています。
多様な人脈の構築: 人には、自分と似た人を雇おうとする性質があります。インクルージョン・リクルーティング・プログラムチームは、マネージャーを新たな人脈と結び、そういった紋切型から脱却するのを支援します。/dev/colorやtechqueria、Ghetto Film School、TalentoTotalといった組織との提携することで、この取り組みにおいて大きな役割を果たしています。一方チームは新たな試みも積極的に行っており、グレッグ・ピーターズ、ジェシカ・ニール、スペンサー・ニューマンといったNetflix役員を対象に、業界で活躍する過小評価グループのシニアリーダーと対話するイベントを開催しています。さらにCOVID-19の感染拡大下においても、DJとディスカッションと呼ばれるオンラインイベントシリーズを開催し、黒人、ラテンアメリカ系、LGBTQ+、アジア系の候補者とのつながりを深めました。
Netflixの"DJとディスカッション"オンラインイベントの様子。アフリカ系の物語に新たなリプレゼンテーションをもたらす人々を迎えて。
こうやって門戸が開かれた人々にとって、Netflixは素晴らしいキャリアを築ける場所となることを目指しています。そんなNetflixという企業を、数多くの社員の助けを借りながら導いていくのがインクルージョン・チームの役割なのです。
インクルージョンと所属の感覚
Netflixは、社員にとって自分が所属する家庭のような会社になることを目指していますが、これは仕事する中で自分の声が反映されていると実感できて初めて実現します。
反映されているという実感は、社内のさまざまなレベル、そして社内のさまざまな物理的・オンライン空間に、自分の声が届いていると感じられることによって得られます。Netflixの社員リソースグループ (ERG) は、こういったインクルージョンと所属の感覚を生み出すうえで重要な役割を担っています。ERGは、社員同士のつながりを構築し、互いに経験を共有することを目的とした社員のコミュニティです。ERGは15グループあり、それぞれがラテンアメリカ系、退役軍人、障がい者といったコミュニティをサポートしています (詳細なリストはこちら)。
各コミュニティは、ディワリ、ジューンティーンス、スピリットデーといったそれぞれの文化・歴史を祝う場を設けています。また、社員向けにメンタリング、キャリア形成、ボランティア活動といった機会も用意しており、課題解決をとおして互いにサポートを行っています。さらには、それぞれのコミュニティが有する観点やニーズ、経験といった知見をNetflixに提供する役割も持っています。アライ向けには、交流によって絆を深める機会も設けています。
私自身、昨年トランスジェンダーのERGが主催したイベントでのことは忘れられません。ロサンゼルスオフィスの円卓の会議室で実施されたイベントは、世界中のオフィスともオンライン接続し同時に開催されました。トランスジェンダー追悼の日に際し、社員が1人ずつ殺害されたトランス女性の名前を読み上げます。一人ひとりの名前を聞き、私はあふれる涙を拭っていました。社員たちは互いに抱き合い慰め合っています。そして私自身も、自分に割り当てられた女性、ジャザリン・ウェアの名前を読み上げました。トランスジェンダーのコミュニティが直面している問題の重大さに対する理解と共感が深まった1日でした。
SOMOSはNetflixのラテンアメリカ系社員とアライのためのERGです。視聴はこちら。
シンガポール在住の社員シャーリーン・ウィー。LGBTQ+とそのアライをサポートするERG、Pride@のアジア太平洋支部によるフォトエッセイより。フォトプロジェクトの詳細はこちら。
反映されているという実感は、会社のポリシーや慣習において自分自身が尊重されていると感じられるということも意味します (つまり、さまざまな宗教や家庭における責任、ジェンダーアイデンティティ、障がいが反映されているということです)。これを実現するため、数多くのチームが私たちと協力しています。
公平な給与: Netflixでは"報酬の公開"を実施しており、トップ1000人のリーダー (ディレクター職以上) は各社員がどれだけの給与を受けているか知ることができます。これにより、不均衡な給与について積極的な議論が可能になります。こういった取り組みの他にも、Netflixのタレントチームは、毎年の給与決定審査といった場面などで定期的に全社員の給与を分析し、不均衡の解消に努めています。いずれの場合も、給与に不均衡が見られた際は改定が行われます。
インクルーシブな福利厚生: Netflixでは、誰にとっても有益な福利厚生を目指しています。当社の柔軟な育児休暇方針は、ジェンダーに関わらず適用されます。Netflixでは家族形成手当を給付しており、不妊治療や代理出産、養子縁組のプロセスを支援しています。これは社員の婚姻状況やジェンダー、性的指向に関わらず誰でも利用することができます。また、Netflixが提供する合衆国医療保険では、トランスジェンダーやノンバイナリー向けのケアも幅広く補償されます。アメリカ以外の国でも、トランスジェンダー向けの補償をいかに拡充していけるか検討しているところです。
マドリード在住のアントニオ・アバロスとパートナーは、2019年に代理出産のために家族形成手当を利用しました。写真は自宅で息子と一緒に撮影されたもの。
インクルージョンレンズ
私がNetflixに入社して1年目は、私たちのチームは社内のありとあらゆる会議に駆り出され、インクルージョンに関するさまざまな話題について議論しました。そこで私たちが提案したのが"インクルージョンレンズ"でした。先ほども少し触れましたが、これは違いを尊重し、バイアスがないか点検し、その決定が排斥・過小評価されているグループに与える影響を検討するための方法です。
しかし、インクルージョンチームがすべての会議に参加することは物理的に不可能です。ですから、社内、そして業界内に永続的な変化をもたらすためには、すべての社員にこのレンズを身に着けてもらわなければなりません。そのため、私たちはまずは以下のような基盤づくりを始めました。
意識の構築
まず、私たちは同じ概念や言葉を共有しなくてはなりません。最初の年は、自分たちで運営する対面のワークショップをとおしてそれを試みました。最初のワークショップの1つは"特権"をテーマとしたもので、2019年にユタにある大会議場で世界中のバイスプレジデントを集めて開催されました。バイスプレジデントたちはエクササイズをとおして、シスジェンダー、異性愛者、白人、非障がい者といった特権を自分たちがどの程度有しているのか確認しました。この業界でもっとも才能ある人々が疎外されてきた経験を赤裸々に語る姿は、とても心強いものでした。
こういったワークショップでは特に、自分がこれまで不公平な状況を経験してきたか、またはそういった状況に加担してきたかを自分の中で確認するよう社員に呼び掛けました。これはとても勇気が要ることですし、気まずさも伴いますが、大きな効果をもたらします。参加者は単に同じ概念や言葉を学ぶだけでなく、気づきを得て、さらにその気づきを行動に移す手段も得るのです。今日まで、私たちのチームは120以上のワークショップを開き、あらゆるレベルのチームや人々に特権やバイアス、インターセクショナリティといった問題のことを伝えています。
昨年、私たちはアライシップに特別な重点を置きました。特権について議論すると気まずい空気になりがちですが、私たちはこれが悪い言葉だとは思いません。自分の特権を認識できたら、その特権をどう利用すれば他人のために不公平を解消できるでしょうか? 初期のワークショップは自己の内省をテーマとしていましたが、アライシップとは私たちが互いに寄り添うことであり、皆に果たすべき役割があります。そして2020年は、まさにこのアライシップ実践の年になりました。
COVID-19は、黒人、褐色人種、先住民族のコミュニティに一際深刻な影響を及ぼしました。アジア系の人々は世界中で外国人ヘイトの被害を受けました。ジョージ・フロイドやブリオナ・テイラーらの殺害事件により、不平等やアライシップに対する人々の意識は高まりました。この1年間、私たちはこのような出来事に苦しむ社員が、心の平穏を得られるようサポートしてきました。他の人にとってもこの1年間はそうした人々の声に耳を傾けて学習し、自分のアライシップを強める機会となりました。ロビン・ディアンジェロ博士、キンバリー・クレンショー、ブリトニー・クーパー、YK・ホンといった専門家を招き、抑圧的な制度に対する理解を深め、希望と癒しをもたらす機会を設けました。私がもっとも感銘を受けたのは、このような対話に数多くのアライが加わったことで、実に5600名以上の社員が参加してくれたのです。
Netflixに加わる新たな社員には、こうした意識を構築する取り組みに参加してもらいたいと思います。今では、インクルージョン・チームがその場にいなくても、"インクルージョンレンズ"を実践する人が多くなっています。こういった気運は、黒人に対する支持や、Netflixのオフィスやサービスのアクセシビリティの向上、製作におけるリプレゼンテーションの促進、オーストラリアの先住民族クリエイターの養成プログラム立ち上げ、ブラジルにおける過小評価グループの製作職トレーニングといった決定にも見ることができます。私がNetflixで過ごした2年間で、全社員数は5400人から8000人以上へと増加しました。これほど多くの社員にインクルージョンレンズを身に着けてもらうには、取り組みの内容をより具体的にしなくてはなりません。
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Netflixオリジナルシリーズ「3%」の製作総指揮チアゴ・メロ (写真左)。ブラジルの製作現場より。Boost the Baseプログラムでは、主に黒人、女性、LGBTQ+といったコミュティの若手30名ほどのトレーニングを行い、シーズン3・4の製作に起用しました。
取り組みの具体化
インクルージョンやダイバーシティの問題は、産業ごと、また職務ごとに異なります。したがって、マーケティング部門の社員が直面する課題は、TV番組製作部門やソフトウェアエンジニア部門、法務部門の課題とは違います。これに対応するため、私たちはインクルージョン・チームを拡張し、現在は6名のリーダーが社内のさまざまな部門でインクルージョン促進に取り組んでいます。これにより、それぞれの社員の職務に合わせたプログラムを策定できるようになったのです。
たとえば、ウェイド・デイヴィスはプロダクト・テクノロジーチームのインクルージョン促進を指揮しており、技術職に女性や黒人、ラテン系の社員を増員するミッションを担っています。よりインクルーシブなチームを形成し、排他的な慣習を取り除くため、デイヴィスのチームはプロダクトリーダー向けのコーチングセッションを実施しました。一例として、"トレーナー育成"グループコーチングセッションでは、インクルージョン・チームがプロダクトリーダーに対し、これまでどういった場で採用活動を行ってきたか、また多様な経歴の人材を呼び込むにはそういった慣習をどう変化させていけば良いかということを自己評価してもらう、という活動を行いました。このセッションに参加したリーダーたちは、自分たちの部下を対象に同様のセッションを開いています。
一方、コンテンツ、プロダクション、マーケティング部門のインクルージョンリーダーであるダーネル・ムーアは、作品のキャストおよびスタッフのリプレゼンテーションに取り組んでいます。彼のチームは昨年、肌の色に基づく差別や、トランスジェンダーおよびノンバイナリー、また障がいのある人々のリプレゼンテーションといったテーマに焦点を当てました。具体的には、「トランスジェンダーとハリウッド: 過去、現在、そして」の監督であるサム・フェーダーや、RespectAbilityといった専門家を招き、オンラインで"インクルージョンインスティテュート"と呼ばれる一連のイベントを実施しています。
タレント、法務、財務、オペレーション各チームでも同様のモデルが導入されています。私たちはこういった取り組みを大きな誇りに感じており、今後も一層強化していくつもりです。
17名からなる強力なNetflixインクルージョン戦略チーム (さらに増員中!)
今後の展望
友人たちが、Netflixで「ブラッド&ウォーター」や「セレナ: テハーノの女王」「私の"初めて"日記」「ザ・ファイブ・ブラッズ」などの作品を観たことや、自分の会社に黒人経営の銀行に預金するよう提案したことを電話で話してくれると、私はとても嬉しくなります。友人たちは私を褒めてくれるのですが、そのたび「私じゃなくて、皆の成果なんですよ!」と話します。私たちは、これからもリプレゼンテーションを促進し、さらにインクルージョンレンズを磨いていきたいと思います。
こういった成果は心強い限りですが、基盤づくりはまだ終わっていません。まだまだ以下のような課題に取り組んでいかなければなりません。
社内のあらゆる分野、特にリーダーシップにおけるヒスパニック系やラテンアメリカ系、その他過小評価グループの採用はさらに促進することができます。
アメリカ国外でのインクルージョンやリプレゼンテーションに関してはまだ学ぶべきことが数多くあります。まずはインクルージョンチームにキャシー・メッキを迎え、ヨーロッパ、中東、アフリカチームでこの取り組みを指揮してもらいます。2021年にはアジア太平洋地域や中南米地域でもチームメンバーを増員します。
社内における改善状況や"インクルージョンヘルス"を評価することも重要であり、現在その方法を模索しています。単に社員人口の統計調査を行ったり、雇用目標を設定したりするだけでなく、社員全体の体験に目を向けたいと思います。採用も確かに大事ですが、過小評価グループの社員の維持や昇進、在職期間、報酬も同じように重要です。
この業界に、そして主流となっている考え方に文化的変革を起こしたいなら、こういった課題すべてに取り組まなければなりません。もう中立でいられる時は終わり、今は勇気を出して行動を起こさなければなりません。この取り組みは、完璧を目指すものではありません。これは謙虚な態度で心を開き、新たなことを学ぶと同時に、自分が今持っている常識を捨て去るための取り組みなのです。この目標に向かって努力し続けるなら、平等が花開く時代が来るでしょう。そしてキング牧師の、私の、多くの人々の夢は、これからも生き続けることでしょう。
脚注:
*データは2020年10月時点のもの。リーダーシップはディレクター職以上の社員を指します。シニアリーダーシップはNetflixにおけるトップ21人のリーダーを指します。
全世界のジェンダーリプレゼンテーションの傾向 2017~2020年
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アメリカ国内の人種・民族の傾向 2017~2020年
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