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【2021年を振り返る】ジャンルごとの期待に応え、よりグローバル化が進んだ2021年の海外作品

 2021年のNetflixのラインナップが発表されたとき、素直に「充実」の一年になると予感した。もちろんここ数年の流れからすれば当然のことではあったが、ほぼ毎週のレベルで、ハリウッドを含めた海外の新作映画が配信され、そのタイトルや、監督・出演者の名を見るにつけ「これは観たい!」と喚起させる作品が大量に並んでいたからだ。

 前半で最大の注目とされたのが『アーミー・オブ・ザ・デッド』で、『300<スリー・ハンドレッド>』や『ジャスティス・リーグ』などで独自アクション路線を追求してきたザック・スナイダー監督が、ラスベガスを舞台にしたゾンビとの対決で、その強烈な作家性と、誰もが興奮するエンタメ性を、予想以上のレベルで合体。その前日譚となる『アーミー・オブ・シーブズ』も2021年の後半に配信され、ちょっとした“ユニバース”を形成したことが大きな喜びとなった。

 さらに出演者の観点からすれば、『レッド・ノーティス』が目を引いた。ドウェイン・ジョンソン、ライアン・レイノルズ、ガル・ガドットと、現在のハリウッドで稼ぎ頭のトップ3と言っていいスターを集結させただけで、映画ファンにとってはビッグなプレゼント。結果的に世界90カ国以上で1位に輝くなど、Netflixでも最高のオープニング記録を達成、配信後28日間でNetflixで過去最大の視聴世帯数を誇る映画となった。トップスターたちの魅力を存分に満喫したい。そんな風に考える人が多いことを本作は証明し、続編への期待も高まっている。 2020年以前も『タイラー・レイク ー命の奪還ー』などNetflixのアクション作品は話題を呼んでいたが、2021年のこの2大アクション映画、『アーミー・オブ・ザ・デッド』と『レッド・ノーティス』は、明らかなスケールアップを実感させるものだった。

 ここ数年、Netflixでは、アカデミー賞を狙う作品を年末に向けて送り出すことが常識となっており、2021年もこの流れはさらに強化。11月以降、賞レースを賑わせる作品が次々と登場し、そのクオリティの高さは全体として例年以上だと感じた。

 ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞した、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は2021年度のアカデミー賞でも中心作品となりそうな気配。『ピアノ・レッスン』のジェーン・カンピオン監督によるカウボーイの物語は、ジェンダーやセクシュアリティの問題を繊細に、美しく取り込んで観る者の心をざわめかせる点が、まさに今っぽい。アカデミー賞常連監督のアダム・マッケイによる『ドント・ルック・アップ』は人類滅亡の危機を描きつつ、ユーモアと、痛烈な社会批判を絶妙に絡め、超豪華キャストを揃えたエンタメ作品だし、現代ミュージカル界の第一人者、リン=マヌエル・ミランダの初監督作で、ミュージカルへの愛に満ち溢れた『tick, tick...BOOM!:チック、チック...ブーン!』にも予想を超えた賛辞が集まっている。さらにイタリアの名匠、パオロ・ソレンティーノの『The Hand of God』もアカデミー賞で国際長編映画賞ノミネートが有力。

 このように気鋭のクリエイターたちが、それぞれの作家性を存分に発揮できる新作に、Netflixが受け皿を用意していることを、2021年は改めて証明した。これらの作品は、日本でも一部劇場公開。スクリーンで観た後、配信でもう一度、感動や興奮を再確認するという映画ファンも増えている。

 こうしたエンタメ性とクオリティの両面を、やはり最高の高さで示す傾向はドラマシリーズでも進み、世界的に社会現象を巻き起こした「イカゲーム」は、予想不能の展開に衝撃描写、社会派テーマの絶妙なケミストリーを達成。「地獄が呼んでいる」とともに韓国作品が大きな話題を呼んだ。スペインの「ペーパー・ハウス」、フランスの「LUPIN/ルパン」も好調で、“非英語”作品の人気がさらに加速したのが、2021年のドラマシリーズの特徴だった。

 非英語作品は突発的な大ブームを起こすポテンシャルがあり、2022年の新作にも期待したいが、一方で「ストレンジャー・シングス」「ブリジャートン家」といった英語作品の人気シリーズも2022年に続編が登場するので、今後、英語作品と非英語作品がハイレベルでしのぎを削り合う予感が漂う。また映画の今後の注目作では、「アベンジャーズ」シリーズのルッソ兄弟が満を持しての監督作で、ライアン・ゴズリング、クリス・エヴァンス、さらに「007」最新作で多くの人を虜にしたアナ・デ・アルマスという最高の共演が実現したアクションサスペンス『The Gray Man(英題)』を筆頭に、ライアン・レイノルズ主演のアドベンチャー大作『アダム&アダム』や、ジェイソン・モモア、ジェイミー・フォックスそれぞれの主演作など、2022年はアクションエンタメ系が、質・量ともに申し分ない。年の後半は再びアカデミー賞を狙う傑作が加わるだろうし、ドラマシリーズ同様に非英語作品も躍進しそう。2021年の勢いがどこまで2022年に受け継がれるか、注目してほしい。

文:斉藤博昭

Netflix ライブアクション新作ラインナップ(海外作品)