エンターテインメント
2022年5月5日2歳の心路 (みろ) ちゃんが挑戦する"おつかい"は2つ。そば屋を営むパパにエプロンを届けることと、ママの腕時計を時計屋さんから受け取ること。商店街の人たちに温かい声をかけられながら、にぎやかな町の通りを一生懸命に駆け抜け、パパにエプロンを届ける心路ちゃん。とても喜んでもらえました。しかし、帰り道では気が散ってしまい、時計屋さんの前を素通りしてしまいます。
迷ったあげく、時計屋さんを見つけることができなかった心路ちゃん。家に帰ると思わず泣き出してしまいます。ママが、おつかいのご褒美にアイスクリームをあげようとすると、さらに泣き出す始末。鼻水を垂らしながら、ママに"また行く。行きたい!"と言って聞きません。決意の固い心路ちゃんは、再びおつかいに戻って、最後までやり遂げます。
1991年の放送開始以来、日本テレビのバラエティ番組「はじめてのおつかい」は、2歳から5歳の日本の子供たちがたった一人で初めておつかいに出る姿を追いかけ、自立への第一歩を踏み出す子供たち (と、言うに及ばずその親たち) の喜びやハラハラドキドキを映し出してきました。3月31日よりNetflixで世界配信が開始されると、海外の多くの視聴者がこの番組を初めて知り、ソーシャルメディア上で話題になりました。また、幼少期に責任感を養うことが、日本の文化では大切にされていることから、子育てに関する文化的な違いについても議論が巻き起こっています。「はじめてのおつかい」の撮影は、何十年も続いているにもかかわらず、番組はハプニング (そして涙) なくすべてが順調に進むことはありません。
ではスタッフは、どうやって小さな子供たちとともに、そんなピンチを乗り切っているのでしょうか? たとえば、心路ちゃんのように立ち往生している子供を撮影チームは助けてよいのか、といった疑問にお答えしていきます (通常は助けません)。
「はじめてのおつかい」のアイデアは、どのようにして生まれたのでしょうか? きっかけは、ふとした思いつきでした。日本では昔から、子供におつかいを頼むという習慣が広く浸透しています。初めておつかいに出かける子供を、本人に気づかれないように撮影してみたらどうだろう...? ひょっとしたら、その映像からTV番組になるような何かが見つかるかもしれないと思いました。そこでシミュレーションを行ったところ、10回のおつかいを撮影すると、そのうち1回くらいはTV向きの映像があることがわかりました。今日に至るまで、初めてのおつかいだけに絞って行った6〜10回の撮影につき、1回くらいは放映されるような感じになっています。 film]
出演する子供たちは、どのように採用されるのですか? 挑戦するおつかいの内容は、誰が選ぶのでしょうか? 撮影するしないにかかわらず、とにかく初めて"おつかい"を頼まれる子供たちを選びます。クイズ番組の出演者を探すのとはわけが違い、どちらかというと番組を作るという感覚でもなく、ドキュメンタリーとして経過を記録することを受け入れてくれる家族を探しています。この番組が始まってから30年余り、家庭を取り巻く環境は大きく変わりましたが、それでもなお、日本には子供をおつかいにやる習慣が残っています。私たちの願いは、この"おつかいの習慣"が消えていく前に記録しておくことです。be asked]
子供に挑戦してもらうおつかいは、その家族が決めます。私たちが指示することはありません。長年にわたって実際に経験してきた失敗談を共有して、どうすれば子供たちがおつかいに対して意欲的になれるか、アドバイスをしています。よく、子供に買いたいものを決めさせたらどうか、と提案されますが、それはおつかいではなく、ただの買い物になってしまいます。おつかいをするときこそ、その子の本当の力が発揮されます。誰かのためでなければ、子供はなかなか最後まで頑張れません。今まで何でも誰かにやってもらっていた子供が、初めて誰かのために何かをする喜びを味わうことになるのです。
カメラマンは、特定の場所で、子供たちから隠れて撮影するように指示されているのでしょうか? カメラマンは衣装を着て通行人のふりをするので、隠れる必要はありません。普通に行動してよいと言っていますが、新しく入ったスタッフはどうしても隠れようとしがちです。撮影スタッフは、子供に話しかけられたら、周囲の大人と同じように対応しなければならないのは分かっています。また、こちらから話しかけないように指示もしています。
おつかいの途中の子供から話しかけられたら、知らないふりを通すのは難しいですか? 時々、子供が"何してるの?"と聞いてくることがあります。そんなときは、聞かれたら聞き返す作戦で、何をしているのかさらっと質問するようにしています。すると、子供たちは誇らしげに"おつかい"と答え、自分がやり遂げようとしていることを話し始め、やがて最初に自分が質問したことも忘れて、おつかいに戻っていきます。このくらいの年齢だと、ひとつのことに夢中になるとほかが見えなくなるので、そこをうまく生かして撮影しています。
だいたい5歳3ヵ月未満の子供たちは、自分が撮影されていることに気づきません。家に帰ってきても、お母さんに、"電気屋さん (実際は衣装を着たスタッフ)"も走っていたと話すだけです。そのくらいの年齢の子供たちは、成長によって複数のことを同時に考えられるようになる時期が違うので、状況によって対応しています。
子供の手助けをしてもよいのは、どんな場合ですか? どのくらいの頻度で手助けする必要がありますか? ケースバイケースなので、明確な答えはありません。子供の個性を尊重することを何よりも大切にして、一人ひとりの子供と向き合い、その気持ちを傷つけないように心がけています。私たちが心から望んでいるのは、子供にとって一生の思い出になるような素晴らしい一日を過ごしてもらうことです。そのためには、家族やスタッフ、おつかいの途中で出会う人たちなど、大人たちが子供のためにしっかり配慮することが必要です。時には、子供の自立を促すために、悪役を演じなければならないこともあります。今、親切に手助けすることが本当に子供のためになるのだろうか、かえってマイナスにならないか、と考えることもあります。大人が親切心で子供を助けるのは、その子を対等に見ていないからですよね? 人のために何かをしたいという気持ちと自尊心によって、子どもは力を発揮します。赤ちゃん扱いされているような感覚に陥ることのないように、私たちも配慮しています。
撮影した子供たちとは、現在も連絡を取り合っていますか? 私たちは、撮影したすべての家族と一生のお付き合いをしたいと思っています。もちろん、両者の意向が合致して初めて成り立つ関係ですので、ご家族側の前向きな意思が必要ですが、いつ放送されるのかご連絡したり、年賀状を毎年お送りしたりしています。また、家族の皆さんの近況もお聞きしています。放送されなかった家族の皆さんからも、お子さんが入学された、ご結婚されたなど、さまざまなご連絡をいただきます。東京にいらしたときに、食事のお誘いを受けることもあるほどです。そういった心温まる近況報告は少なくありません。改めて再会したときに、撮影時の本音をうかがうこともあるのですが、その答えが、今後の撮影に役立つ貴重な情報になっています。
毎シーズン、新しい子供たちが登場しますが、その日の出来事がその子供をどう変えたのか、"数年後"のエピソードを撮ることもあります。そうすることで、ストーリーが一巡します。撮影から何年もたって親になり、自分の子供にも"はじめてのおつかい"をさせることになった人も登場しました。親子二世代にわたる、"はじめてのおつかい"の撮影です!
30年も続いている番組ですが、ここまで人気を保っている理由は何だと思われますか? 私たちは番組を作ろうとしてやっているわけではありません。むしろ、今の日本の姿をそのまま記録しているという感覚です。長寿番組としての継続を目指しているわけでもありません。出会った家族の皆さんと一生お付き合いしていきたいと思っています。離れていても、家族の皆さんがお元気だとわかることは、私たちにとって大きな意味があります。海外からの反響については、大変光栄です。初めておつかいをする子供とその家族が紡ぐステキな思い出と、その光景を目の当たりにする皆さんの心がつながるような感覚を味わってもらえたらうれしいです。製作チームを代表して申し上げますが、この番組は、長期的な継続、人気、ましてや国際的な露出などは、あまり気にしていません。時代の移り変わりとともに出会う家族の大切な思いと思い出を、記録しているにすぎないのです。
本記事はNetflixの公式ガイドサイトTudumからの再掲です。
